東出雲町とんとんむかし
2023年09月21日
恵比須様と鷄のおはなし
昔々神話の時代の話です。
(美保関の)恵比須様が、美しい(揖屋の)溝樴姫(みぞくいひめ)に出会われ毎夜姫のところへ通われるようになり、
一番鶏の声を合図に帰られるのが常でありました。
ところが、ある月夜の晩に間違えて泣いた一番鶏の声で慌てて小舟に乗り帰路につかれました。
しかし、途中櫓を海の中へ落とされ、仕方なく片足を海につけて櫓の代わりにして漕ぎ始められました。
その頃は、中海にも鰐ザメがたくさんいたのでその片足を食いちぎられてしまわれました。
片足をなくし命からがら(美保関へ)帰られた恵比須様は、
まだ夜明けまでにだいぶん間のあることを知り「あの鶏が鳴かなかったらと」大変怒られ、
さんざん鶏をののしり足をなくしたことを嘆かれました。
このことがあってから両神さまのお心を考え神罰を恐れた美保関・揖屋・意東・出雲郷・大草・春日・大根島などでは
鶏を飼わなくなり、鶏卵も食べなくなってしまいました。
(※東出雲町とんとんむかしより)